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4つのコダワリから見る、ヤマハ無線LANの新フラグシップモデル「WLX413」

4つのコダワリから見る、ヤマハ無線LANの新フラグシップモデル「WLX413」

より速く:Wi-Fi 6トライバンドや10GBASE-Tに対応

さて、今回のWLX413に関しても、ヤマハがアクセスポイントで重視したアプローチが脈々と受け継がれている。

そのコンセプトは「より速く、より多く、より広く、より便利に」だ。この4つについて順に見ていこう。

1つめは「より速く」だ。WLX413では、ヤマハのアクセスポイントとしては初めてWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に対応した。しかも、Wi-Fi 5(IEEE 801.11ac)のデュアルバンド対応だったWLX402(前ハイエンドモデル)と異なり、5GHz帯が2バンド、2.4GHzバンドのトライバンド対応となっている。機器全体のスループットは、何と合計5.9Gbpsだ(理論値)。

Wi-Fi 6、トライバンドによるスループット

Wi-Fi 6トライバンド対応によって無線LANのスループット性能がギガビットを大きく上回っていることから、有線LANのインターフェイスも、10GBASE-Tや2.5GBASE-T/5GBASE-Tといった高速イーサネットに対応した。

4つのコダワリから見る、ヤマハ無線LANの新フラグシップモデル「WLX413」

現在、市場に出ているWi-Fi 6アクセスポイントでは、2.5GBASE-Tや5GBASE-Tのインターフェイスを搭載し、10GBASE-Tに対応しない機種も多いが、ヤマハでは、「技術的はそんなに大きな違いはないというと言いすぎですが、やるべきことには大きな差はありません。そのため、フラグシップということもあって10GBASE-Tを採用しました」(新川氏)のだという。

「またネットワークスイッチによっては、10GBASE-Tと1000BASE-Tに対応しているものの、2.5GBASE-Tや5GBASE-Tには対応していない製品もあります。そういう機器に接続することも考えて、10GBASE-Tに対応させました」(新川氏)。

このほかWLX413では、ショートフレーム(ショートパケット)性能も重視している。これは、コロナ禍において企業のワークスタイルが大きく変化する中で、遠隔会議の利用が拡大しているが、リアルタイム性の確保の観点から、遠隔会議では通信にショートフレームが利用されているからだ。しかし、データの中継を担うネットワーク機器にはショートフレームの処理が大きな負荷になっており、快適な遠隔会議のためには、スムーズな処理が求められるているのだという。

そこでヤマハでは、WLX413のショートフレーム性能を従来製品よりも向上させた。これを示すため、同社は実際にWLX413とWLX402(前世代のハイエンドモデル)のショートフレーム転送処理性能を測定・比較し、技術資料として公開している。それによると、ショートフレームの転送性能において、WLX413の性能はWLX402の約3倍になっているとのことだ。

参考:WLX413技術資料ホワイトペーパー(ショートフレーム性能)

加えてWLX413では、トライバンド対応のミッドレンジモデル「WLX313」と同様、Fast DFSやWDS(後述)などをサポートした。

このうちFast DFSは、DFS(Dynamic Frequency Selection)によって通信が切れることを防ぐ機能だ。5GHz帯(W52を除く)は気象レーダーや航空レーダーなどと帯域を共有しており、Wi-Fiでは、それらの電波を検出した場合にチャンネルを譲ることになっている。これらのレーダー波を検出した場合は、干渉しないチャンネルに切り替えることになるが、それを調べるために、最短でも60秒間通信が切れてしまう。

これを防ぐのがで、同機能を有効にした場合、2バンドある5GHz帯のうち1つで常時チャンネルのスキャンを行い、レーダー波と干渉しないチャンネルを把握しておく。そしてレーダー波を検出した場合、通常の無線LAN通信に使っているもう1バンドのチェンネルを、すみやかにレーダー波と干渉しない別のチャンネルに切り替えることで、通信への影響を小さくする仕組みとなっている。

ただしFast DFSを有効にすると、安定した通信が可能になる代わりに、5GHz帯の1バンドを無線LAN通信に利用できなくなるので、その点はトレードオフとなる。