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機能と走りで印象に残る「トヨタ ヴォクシー」

機能と走りで印象に残る「トヨタ ヴォクシー」

ミニバン市場が、ますます熱いといわれている。従来のファミリーユースに加え、キャンプブーム、そして、エグゼクティブがリムジンの代わりなどに使う。そのような傾向が開発を後押ししているようだ。トヨタ自動車が1月に発売した「ノア」と「ヴォクシー」という姉妹車は、機能と走りで印象に残るモデルだ。

「ノア」と「ヴォクシー」は、全長4695ミリ、全高1895ミリの、いわゆるミドルクラスのミニバン。競合は、日産「セレナ」やホンダ「ステップワゴン」になる。開発を担当したトヨタ車体では「プリウス」などと基本的に共通のプラットフォーム(車台)を用い、足まわりの設定などを見直し「ミニバンでも走りを追求しました」(開発担当者)と自信のほどを見せる。

確かに操縦性がいい。発進からスムーズで、車線変更やカーブを曲がるときも、気持ちよく動く。加えて、7人乗り仕様では、2列目にアームレスト付きのキャプテンシート採用で、それが大きくリクライニングし、前後に745ミリもスライドする。さらに、3列目シートも使い勝手がいいのだ。

オプションで、2列目シートにシートヒーターと、足を載せるオットマンを装着することも可能。私はその快適さを体験して、ラージクラスに位置づけられる、トヨタ「アルファード」を連想した。同車では、電動でリクライニングするシートを備えた「エグゼクティブラウンジ」なる仕様が好まれている。

「『ノア』と『ヴォクシー』の2列目のシートが大きく倒れるといい」と言ったのは、女性客だったそうだ。その声が販売店を通じて上がってきたので、開発陣は本気で取り組んだという。

「堂々・躍動的な力強いハコスタイルを追求した」とする「ノア」と「ヴォクシー」。フロントマスクの印象が強いのは「ヴォクシー」だ。先鋭かつ独創的なスタイルが追求されている。その造形の背景は「これまでミニバンに興味を持たれなかった層へのアピールも含まれる」と、開発を指揮したトヨタ車体の黒柳輝治氏は語ってくれた。

「ノア」と「ヴォクシー」に用意されるパワートレインは、2リッターガソリンと、1.8リッターガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせたハイブリッド。どちらにも、前輪駆動と4輪駆動(ハイブリッドは後輪をモーターで駆動)がある。

「ハイブリッドでは、走り出しをよりスムーズにすることを心がけた」と前出の黒柳氏は教えてくれた。サスペンションの設定を含めて、重視したのは軽快さ。「発進加速をよりスムーズにしてほしい」と言ったのも、従来のユーザーだという。

試乗してみて、よくできていると思った。徹底した機能主義。ミニバンに乗る人が増えている理由もわかる。

機能と走りで印象に残る「トヨタ ヴォクシー」

私が好感をもったのは、車体の重さを感じさせないことに加え、加速が続いていくフィーリングを味わわせてくれるハイブリッドモデルだ。「E-Four」という4WDモデルもあるが、市街地では前輪駆動でいいと思う。

乗り心地は快適で、かつ、静か。モノボリュウム(ワンボックス)の箱形車体は、音の反響など、騒音を抑えるのに苦労するはずだが、驚くほどノイズを消している。試乗車に搭載されていた12スピーカーのオーディオシステムも、音のめりはりが効いていて、好感度大。私がオーナーになるときは、このオプションを選ぼうと思った。

停車してドアを開けようとするとき、死角から自転車などが近づいてきた場合にはドアを開けないようにする「降車アシスト」。そして、先行車の減速に応じてアクセルペダルを踏んでいる足の力を弱めるとブレーキを効かせてくれる「プロアクティブドライビングアシスト」をはじめ、運転支援システムはオプションを含めて充実している。

トヨタが「からくり」と呼ぶ、ギアやシャフトを組み合わせた無動力で動く装置も興味深い。たとえば電動スライドドアにオプションで「ユニバーサルステップ」を装備すると、ドアが開くとき機械的にドア下部からステップを展開・格納する。従来は電動で高価なオプションだったが、今回は3万3000円である。

もうひとつは、電動テールゲートに装備できる「フリーストップバックドア」。電動で開く途中に、手で軽く押すとその位置でゲートが止まる。機構的には、ケーブルと歯車を使う。簡単で賢く、モノ好きの心をくすぐる装備だ。

価格は「ノア」はガソリンエンジンに前輪駆動の「X」(267万円)から。「ヴォクシー」は「S-G」の309万円がスターティングプライス。ハイブリッドはノア「X」の前輪駆動車が305万円から、「ヴォクシー」では「S-G」が344万円からだ。ハイブリッドの4WDは「ノア」が327万円、「ヴォクシー」は366万円からとなる。

オプションパッケージも多い。電動スライドドアや電動テールゲート、2列目のキャプテンシートのオットマンなどで構成される「快適利便パッケージHigh」は15万1800円。10.5インチモニターをはじめ、ナビゲーションシステムや12スピーカーのオーディオなどの「ディスプレイオーディオPlus」が19万300円だ。欲望を刺激されるミニバンである。

写真=筆者

【スペックス】車名

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