ヤマダホールディングス(HD)とアマゾンジャパン(東京・目黒)は2月17日、動画配信機器「ファイアTV」を内蔵したスマートテレビを共同開発したと発表した。販売面でも提携する。家電量販最大手とEC(電子商取引)最大手がタッグを組むのは異例だ。
「ハードウエアだけでは十分な提案はできない。アマゾンさんとの協業でイノベーションを発揮することにより、先取りして価値を生み出していきたい。これをきっかけに、ぜひお願いしたい」
スマートテレビの販売を発表したアマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長(左)とヤマダHDの山田昇会長兼社長(写真:吉成大輔、以下同)17日の記者会見。ヤマダHDの山田昇会長兼社長はアマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長に向き合い、そうラブコールを送った。
この日発表したのは、アマゾンのネット動画配信機器「ファイアTV」を内蔵した国内初のスマートテレビ。音声認識AI(人工知能)「アレクサ」を搭載し、リモコンにタイトル名やジャンル名、俳優の名前を話しかけて動画コンテンツを検索したり、地上波のチャンネルを変更できたりする手軽さが特徴だ。32~55インチまでの4サイズを展開し、価格は税込み5万4780円~14万2780円。アマゾンでは17日に予約を開始したほか、3月5日からはヤマダ店舗や同社のウェブサイトでも販売する。
アマゾンをはじめとしたネット通販は低価格や利便性を武器に家電量販店から市場を奪ってきた経緯がある。BCN総研の道越一郎アナリストは「家電量販店の多くがEC強化を重要課題に掲げる中で、立ちはだかってきた『最大のライバル』でもあるアマゾンと手を組むというのは意外だった」と驚く。
山田氏がアマゾンを強く意識していたのは、約1年前の日経ビジネスのインタビュー(ヤマダHD会長「アマゾンさんは勝てませんよ、この業界では」)からもうかがえる。山田氏は「ネット社会でも、我々が扱っている自宅にうかがって設置するような商品は、実店舗を持つ専門店としてのサービスがやっぱり必要なんです」と強調し、こう述べて対抗意識をのぞかせていた。「だからいくら頑張ったってアマゾンさんは勝てませんよ」。
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