米アップルはスマホ「iPhone」の折り畳み式モデルを開発中だが、その市場投入はこれまで伝えられていた時期から2年遅れる見通しだと、米メディアの9to5Macやシーネットが2月21日に報じた。
米調査会社ディスプレイサプライチェーンコンサルタンツのロス・ヤングCEO(最高経営責任者)が同日公表したリポートで指摘した。
折り畳み式iPhoneの発売時期については、これまでさまざまに伝えられていた。早ければ2023年に登場すると言われる前は、21年に市場投入されるとの観測が流れていた。
ヤング氏によると、ディスプレイサプライチェーンコンサルタンツはサプライチェーン(供給網)担当者からの話を分析し、その時期がさらに遅れて25年になるとみている。同氏は「アップルは折りたたみ式スマホ市場への参入を急いでいるようには見えず、時期は25年からさらに遅れる可能性もある」とも述べている。
9to5Macによると、ヤング氏はディスプレイサプライチェーンコンサルタンツのアナリストでもある。アップルが21年に発売したノートパソコン「MacBook Pro」に、ミニLEDバックライトを採用したディスプレーと、状況に応じて画面の書き換え速度を変化させる機能「ProMotion(プロモーション)」が搭載されると予測した唯一のアナリストだという。
アップル製品の市場動向やサプライチェーン情報に詳しいアナリストとしては、中国TFインターナショナル証券のアナリスト、ミンチー・クオ氏が有名だが、ヤング氏も同様に独自の情報源を基にアップルの動向を調査している。
一方で、米調査会社のIDCによると、21年における折り畳み式スマホの世界出荷台数は前年比約3.6倍の710万台だった。同年のスマホ全出荷台数は13億4890万台で、折り畳み式が占める比率はわずか0.5%にとどまった。
だが、その成長は目覚ましいという。25年には出荷台数が2760万台となり、市場規模は290億ドル(約3兆3300億円)に達するとIDCはみている。
折り畳み式スマホの20年から25年にかけての年平均成長率(CAGR)が69.9%であるのに対し、従来型スマホのCAGRは3.1%にとどまるという。
折り畳み式スマホ市場は依然として規模が小さい。「だが、消費者の観点から考えると、スマホに起きた最も革新的な視覚的変化であり、メーカーにとって無視できない市場分野。法人分野では、各社が従来のスマホとタブレット端末に代わる新たな製品と位置付けている」(IDC)。
IDCによると、この市場をけん引しているのは韓国サムスン電子。横方向に開く「Galaxy Z Fold」と縦方向に開く「Galaxy Z Flip」が従来モデルの欠点を補っており、新たな顧客も獲得しているという。
また、他社も新モデルを発売している。この形態の人気が高まるにつれ、より多くのメーカーがサムスンからシェアを奪おうと市場参入してくる、とIDCは予測している。
9to5Macの別の記事によると、前述した著名アナリストのクオ氏は21年3月時点で、アップルが23年にiPhoneの折り畳みモデルを発売すると予想した。また、同年5月に公表した投資家向け資料で同氏は、アップルが折り畳みiPhoneを初年に2000万台出荷する計画だと報告していた。