エントリークラスのWi-Fi 6ルーターは、現在、各社がしのぎを削る激戦区だ。
ざっと挙げても、とにかく安いTP-Linkの「Archer AX20」(実売6800円)、安心安定のバッファロー「WSR-1800AX4」(実売8800円)、国産でもコスパが高いアイ・オー・データ機器の「WN-DAX1800GR」(実売7480円)と「DEAX1800GR」(実売7200円)、ブランド力の高いネットギアの「Nighthawk AX1800 RAX20」(実売7182円)と、実力派がそろっている。
こうしたクラスへ2020年末に投入されたのが、今回取り上げるLinksysのE7350だ。現在はベルキン傘下の1ブランドとなったLinksysだが、Wi-Fiルーターとしては老舗の存在として、一部ユーザーにとっては特別な響きを持つブランドだ。
先に挙げた競合製品と比べると、2020年末のデビュー当時は、価格面(実売価格1万800円)も機能面でも、他製品に埋もれてしまっている印象があった。しかし、発売後のファームウェアアップデートによって「EasyMesh」がサポートされるようになったことで、「互換性を持つメッシュ」という特徴から一躍注目すべき製品となった。
そのEasyMeshとは、Wi-Fi Allianceが定めたメッシュWi-Fiの互換性を確保するための規格となる。現在、一般的なメッシュWi-Fiは、各メーカー(チップベンダー)が独自に提供するメッシュ機能を実装したものとなっているため、基本的に同モデル、もしくは同メーカーの製品同士でしか接続ができない。
これに対してEasyMeshは、どのメーカーのWi-Fi搭載PCやスマートフォンが、どのメーカーのアクセスポイントにも接続できるのと同様に、EasyMeshに対応した製品同士であればメーカーを問わずに相互接続が可能となっているとされている(詳しくは後述するとおり現実はなかなか難しいが……)。
このEasyMeshのサポートにより、E7350は、最安値ではなく、特別な付加機能(セキュリティ機能やVPNサーバー機能)がなくても、どの製品ともつながるメッシュ対応という大きな魅力を持つこととなったわけだ。