いま人気のテレビやモニターは、表示される動きがスムーズで画像が鮮明であると謳う高リフレッシュレートのディスプレイを搭載しているものが多い。スマートフォンでも「iPhone 13 Pro」は最大120Hzのリフレッシュレートに対応しており、Androidスマートフォンも同様だ。
リフレッシュレートの高さは、ゲームの世界においても盛んに話題になっている。素早い反応と瞬時の画面の書き換えが、ゲームの勝敗を左右することがあるからだ。
そもそも「リフレッシュレート」とは何を意味するのか。ディスプレイに表示されるコンテンツは、すべて静止画(フレーム)が非常に高速に連続表示されることで成り立っている。リフレッシュレートは、このフレームが変わる頻度の性能を指すもので、単位はヘルツ(Hz)だ。
リフレッシュレートが120Hzの場合、フレームを毎秒120回まで新しいものに更新(リフレッシュ)できる。これが60Hzだと毎秒60回までだ。90Hzだとどうなるのかは、もうおわかりだろう。
ここで注意が必要なのは、画面のリフレッシュレートが高くても、その恩恵は画面に表示されるコンテンツのフレームレートに制限されるということだ。映像やヴィデオゲームの表示は、フレームレートを1秒あたりのフレーム数(fps)で表す。映画は劇場の基準に合わせて通常24fpsだが、ゲームは最大120fpsのことが多い。
スマートフォンメーカーによっては、タッチ操作に対応したディスプレイに関してタッチサンプリングレート(レスポンスレート)を明らかにしている。ややこしいことに、単位が同じヘルツ(Hz)なのだ。これは、タッチ画面が指のタッチをスキャンする頻度に関する数字で、この数字が大きいほど、タッチへの反応が素早くなる。
スマートフォンのディスプレイのリフレッシュレートが高いと、ゲームの動きに対して表示が遅れなくなったり、映像のモーションブラー(被写体ぶれ)が抑制されたりする。またインターフェイス周りのナヴィゲーションも、リフレッシュレートが低いディスプレイより反応がよくなる。
こうしてゲーム中の激しいアクションのぎこちなさが減り、テンポの速いスポーツ映像のアクションがスムーズになり、長いウェブページをスクロールしても表示がぎくしゃくしなくなる。リフレッシュレートの高さの恩恵をしっかり享受するにはフレームレートのほうも高い必要があり、できればリフレッシュレートとフレームレートが一致していることが望ましい。
リフレッシュレートが高いと、より多くの電力を消費するというデメリットもある。画面をリフレッシュする回数が毎秒ごとに増えれば、それだけ必要な電力が増えるからだ。それにフレームレートを高めるには、相応の処理能力も必要になる。
スマートフォンではプロセッサーの処理能力こそ大幅に向上しているものの、バッテリー駆動時間を増やすにはまだ限界がある。このため、ディスプレイのリフレッシュレートが高いスマートフォンの大半は、常に最高のリフレッシュレートで動作するわけではない。
iPhone 13 Proのディスプレイもそうだ。あくまで120Hzのリフレッシュレートは「動的」なものであり、違いに気付きやすい場面に限定してリフレッシュレートを高めている。