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なぜIPアドレスだけで通信できるのか、ルーティングのキホンを徹底図解

なぜIPアドレスだけで通信できるのか、ルーティングのキホンを徹底図解

ルーティングを理解する上で欠かせないのが「IPアドレス」である。ルーティングを詳しく説明する前にIPアドレスの基礎を復習しておこう。

IPアドレスはネットワーク上の住所に相当する情報だ。パソコンやスマートフォン、サーバーなどのホストに割り当てられ、IPパケットはこのIPアドレスを手掛かりに転送される。ルーティングを学ぶ前に、まずはIPアドレスの基礎を押さえよう。

IPアドレスは「1」または「0」が並んだ32ビットのビット列である。ただ2進数で表記すると人間には分かりづらい。そこで、8ビット(1オクテット)ずつに区切り、それぞれ10進数に置き換えて表記するのが一般的だ。

IPアドレスとサブネットの表記方法[画像のクリックで拡大表示]

例えば「11000000101010000000000101100100」というIPアドレスを10進数に変えるには、まず「11000000.10101000.00000001.01100100」と8ビットずつに区切り、さらにそれぞれを10進数に変換して「192.168.1.100」と表記する。

IPアドレスの中でネットワークを表す「ネットワーク部」(プレフィックスとも呼ぶ)を指定するのが「サブネットマスク」の役割だ。IPアドレスと同じく「1」または「0」が並んだ32ビットのビット列を8ビットずつに区切って表記する。「1」の部分がネットワーク部である。「0」の部分はホスト部だ。ホスト部はネットワーク内の端末を識別するのに利用する。

例えば上位25桁がネットワーク部のサブネットマスクは「11111111.11111111.11111111.10000000」である。10進数に直せば「255.255.255.128」と表せる。

ただしIPアドレスと同じような表記では分かりにくい。そこでIPアドレスの後ろに「/」を置き、それに続く数値でネットワーク部の長さを示す「CIDR(Classless Inter-Domain Routing)表記」がよく使われる。例えば「192.168.1.100/25」は、上位25ビットがネットワーク部である。

なぜIPアドレスだけで通信できるのか、ルーティングのキホンを徹底図解

ここからはルーティングの基本的な仕組みについて見ていこう。

企業のネットワークやインターネットなど、IPを使うネットワークは主にルーターによって構成される。

社内ネットワークに接続されたパソコンなどが送り出すIPパケットを宛先のIPアドレスに転送するのがルーターの役割だ。もしルーターが受け取ったIPパケットの宛先がそのルーターに直接接続されたネットワークにあれば複雑な処理は必要ない。

ルーティングは最適な経路を選択する機能[画像のクリックで拡大表示]

しかし宛先までに複数のネットワークを経由する場合は最適な経路を選ぶ必要がある。適切な経路にパケットを転送しなければ、遠回りして遅延が発生したり、途中で失われたりしてしまうからだ。

そこでルーティングの出番となる。ルーターはIPパケットを受け取ると、IPヘッダーにある宛先のIPアドレスを調べる。そしてルーティングテーブルを参照し、対応するIPアドレスが登録されているかどうかを確認する。

ルーターはルーティングテーブルを基に最適な経路を求める[画像のクリックで拡大表示]

一般にルーティングテーブルには宛先IPアドレスや次の転送先を示すIPアドレス(ネクストホップ)、ネットワークと接続しているポートの番号などが記されている。例えばネットワークXとAとCにつながっているルーターに、ネットワークX内の端末からネットワークY宛てのパケットが届いたとする。この場合、ルーターは自身のルーティングテーブルを参照し、ポート2からネットワークAにパケットを転送すればよいと判断する。

ルーティングテーブルに登録されていないネットワーク宛てのパケットが到着したら、「デフォルトルート」と呼ぶネットワークに転送する。一般にデフォルトルートへの宛先は「0.0.0.0/0」と表す。

ルーティングテーブルにないアドレス宛てのパケットはデフォルトルートに転送する[画像のクリックで拡大表示]

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