中古スマートフォン市場が活況だ。情報通信関連市場の調査などを手掛けるMM総研(東京都港区)によると、令和2年度の販売台数は前年度比13.5%増の185万台と過去最高を記録。3年度はこれを10.3%上回る204万台と、初の200万台突破が予想されている。市場は今後も拡大が見込まれていることから、販売会社は流通機能や買い取りの強化に乗り出している。
携帯市場のロジスティクスセンターで買い取った中古スマホを検品している様子=岐阜県羽島市中古スマホの通販サイト「みんなのスマホ」を展開する携帯市場(東京都千代田区)は、3年11月の販売台数が過去最高だったことを明らかにした。需要期である同年の3月や9月の約1.5倍、2年12月比では約3倍という大幅な伸びとなっているという。
同社は「今後も販売台数の増大が見込めるとみており、中古品の買い取りや発送を担う施設の増強を検討している」(携帯市場広報担当)という。
レンタルビデオや中古スマホを扱う実店舗を全国展開するゲオホールディングスでも、中古タブレット端末を含めたスマホ販売が伸びている。3年8月の販売金額は新型コロナウイルス禍前である元年8月の約1.5倍に達した。
同社は販売増に対応するため「店頭の値札を従来の半分のサイズに縮小してより多くの商品を展開できるようにしたほか、販売スタッフの育成を強化し、全国400以上の店舗に中古スマホなどの専属販売員を配属している」(ゲオホールディングス広報課)。
仕入れの強化も続く。ゲオでは3年10月のスマホとタブレットの買い取りが前年同期比25%増に拡大。この年末年始も中古品の買い取り金額を査定額より10%高くするキャンペーンを展開し、さらなる仕入れの拡大を目指している。
市場拡大の背景には、価格の安さがある。例えば「みんなのスマホ」での米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)8」の平均中古販売価格は3年12月3日時点で2万円と、新品の半額以下だ。同社も含め、動作確認や清掃、補修などを行ってから出荷する販売会社が増えたことから、品質の良い中古品が多くなったという事情もある。
ゲオではこの安さに着目した中古スマホと格安通信サービスのセット販売が好評で「2年度の販売数は前年の倍にまで増えた」(同)という。
3年10月には総務省が、携帯電話端末を自社回線でしか通信できなくする「SIMロック」について原則禁止とした。これに伴い、今後は電話会社に縛られずに中古端末を利用できる環境がより一層広がる。こうした?追い風?も、中古スマホ市場の拡大を後押しする。
MM総研は、4年度以降も販売台数が年率7%前後の成長を続け、7年度には268万台に達すると予測する。国内の新品スマホ市場は年間3200万〜3500万台程度で推移しており、中古市場は全体からするとまだ5〜7%程度と小さいが、販売する店舗や通販サービスの増加も、今後の中古市場拡大を後押ししそうだ。(青山博美)
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