Robloxが急にゲームのことを「体験」と呼び出したのは、そういうことだったのか…。
"ゲーム版YouTube"と呼ばれるゲームプラットフォームの「Roblox」がApple(アップル)に手数料を免除されていることが、Epic Games(エピック)対アップル訴訟で争点に。「エピックのゲームストアは手数料を徴収されるのに不公平だ」とエピック側が訴えて、アップル側が「Robloxはゲームではない、体験だ」と反論。その後、Robloxのサイトから「ゲーム」の文字がこつ然と消えて「体験」に置き換わってしまいましたけど、あの不自然な流れは米司法省の目にも留まっていたようです。「ゲームと体験の違い」について、Robloxに説明を求めていることがMacRumorsの調べでわかりました。
Robloxは子どもでも簡単にオンラインゲームを作成して公開し、メンバーがプレイできるオンラインゲームプラットフォームです。ゲーム開発キットもホスティングも無料。欧米で特に人気が高く、プレイ人口は月間およそ2億人、遊べるゲームは2000万タイトルを超えます。同業のSteamは5.5万タイトル弱なので、数の上では400倍近くに相当する計算。
もちろんRobloxは練習台のようなゲームも多いのでクオリティが違いますが、小学生にはそういう手づくり感も魅力みたい。完璧な映像よりツッコミどころ満載のTikTok動画に流れるように、人が集まってます。
「子どもにゲーム開発を教える場」(Roblox)というと聞こえはいいのですが、Robloxではゲーム売上の4分の3を手数料として徴収しています。People Make Gamesの動画(下)にあるように、Valve社のSteamは手数料が30%、エピックやMicrosoft(マイクロソフト)のストアは12%なのに、Robloxの手数料はなんと75.5%。開発者の手元には4分の1しか残らないんですね。
「え? 75.5%って、アップルのAppStoreからも手数料30%取られたら手取りマイナスじゃん!」と思っちゃいますけど、ことRobloxに関してはアップルの手数料は発生していないのです。理由はよくわかりません。
一方のエピックはといえば、人気ゲーム『フォートナイト』のアプリ内課金でアップル手数料抜きの支払い方法を併記しただけで、規約違反とされてAppStoreから追放されています。エピックのゲームストアについても、アップルへの手数料がネックになってAppStoreに掲載は許可されていません。なぜRobloxだけ手数料免除でAppStoreに掲載を許されているのか? 特別扱いではないの?という声は業界でも上がっていました。
たとえば、Amazon Studio戦略部門ヘッドのMatthew Ball氏も、昨年11月にこうツイートしていますしね。
法廷でもその点が問題になりました。
理由を問われたアップルのApp Storeエグゼクティブ、Trystan Kosmynka氏はこう回答。
これを裏付けるかのように、Roblox公式サイトから「ゲーム」の文字が残らず消えるという現象が起こったのです。
「ゲームにジョイン」は「ジョイン」に、「プレイを続行」は「続行」に変更。「ゲーム」のタブは「Discover(探す)」に変更です(まあよく見ると、The Vergeが気づいたように、「探す」のタブから開くページは「roblox.com/games」のまんまで、なんだかなぁ…となりますが)。あまりの展開に、先のBall氏も「オーマイガッ」と絶句していますよ。
この一連の顛末には、米司法省も無関心ではいられなかったのでしょう。事業者間の競争を阻害する要素がなかったか調査を進めています。最近もRobloxとゲームデベロッパーに事情を聞き回ってるとのこと。同省が知りたいのは「ゲームと体験の違い」です。あと「Webサイトの表記を変えた理由」。きなくさく&面白くなってきました。
Source: MacRumors