新型MacBook Proに採用されたM1 ProおよびM1 Maxは大幅な性能アップを実現していることから、暗号通貨のマイニング(採掘)に使えないかと脳裏をよぎった人も少なくはないはず。それを実際に試してみた結果が報告されています。
海外掲示板Redditにも、同じ疑問を抱いた人たちがスレッドに集まっています。最初の「M1 Maxは55MH/sでETH(イーサリアム)を採掘できる?メモリの帯域幅はRX 6700 XTとRTX 3060 Tiの間だ」というお題をきっかけに「M1 Maxが40以上のMH/sを出せるなら、M1 ProではなくM1 Max MacBook Proを注文するよ」などの話題が盛り上がっています。
ちなみに「MH/s」とは暗号通貨を採掘する速度であるハッシュレートの単位であり、1秒間の計算が100万回ということです。
さらに「考慮すべき事実は、最も効率的なSoCであり、専用GPUよりも電力消費がずっとずっと少ない。MacBookのリセールバリュー(買取や下取り価格)は基本的に市場で最も優れています(中略) SoCには、画面出力、超高速ビデオエンコーディング、暗号化、非常に強力なニューラルエンジンなど、特定の処理に特化した複数の専用プロセッサが搭載されています(中略)基本的には最も効率的な汎用CPUであると同時に、最も効率的なプログラマブルASICでもあるんだ」といったレスポンスもあり。
また「私は64GBのM1 Max 16(インチ)を持っていますが、ハイパワーモードで動作させたところ、ストックのethminer-m1バイナリで約10.25MH/が出ています。決して高速ではありませんが、非常に効率的で、1Wあたりのハッシュレートはおそらくとても良いでしょう」との声もあります。
そして実際にテストをして、数字を出している人もいます。YouTuberのUFD Tech氏はM1 Pro搭載Macで採掘をして、その電力効率の良さに驚いています。すでにM1 Mac向けに暗号採掘用のコンパイル済みバイナリが配布されており、本動画ではそのインストール方法と使い方(今回はイーサリアム)が説明されています。
まず注意すべきは、バックグラウンドでのマイニングはしない方がいいということ。ちょっとしたWebブラウズでもマシンのパフォーマンスを落としてしまうので、Macを使わないときのみ実行したほうがよさそうです。
そうして注意を払った結果、M1 Proでは5MH/s以上の速度が出ており、総消費電力はわずか17W。Windows PCで同じ結果を出すためにははるかに多くの消費電力を必要とすることからも、十分にいい結果と言えそうです。
ただし電気代を差し引いた後の利益は、1か月あたりわずか12.82ドル、1日あたり約42セントにすぎません。もしも暗号通貨マイニングのためだけにMacBook Proを買うとすれば、元を取るのに17年はかかる計算となります。購入から4~5年で下取りに出すとすれば利益はもう少し改善しそうですが、いずれにせよ小遣い稼ぎの域を出ることはなさそうです。
すでに購入している人は、Macを使っていないときにマイニングをしても害はなさそうではありますが、一攫千金は望むべくもないと思われます。4Kや8K動画編集などでM1 Max MacBook Proを24時間フル操業させている人は、今まで通り本来の業務に専念させておくのが賢明かもしれません。
Source:Reddit,UFD Tech
via:9to5Mac