IPv6対応への道しるべ
逆引きはさまざまな箇所で利用されています。たとえば,sshdやinetdでは多くの場合,接続受付時に逆引きを行います。逆引きに頼ってホスト名認証を使っている人はほぼいないと思いますが,ログへ出力されるなど,いろいろと利用されています。
さらに,逆引き設定が存在しないと接続処理に時間がかかる場合もあり,たとえば「ログインに時間がかかってしまう」などの現象が発生することがありえます。
APNICのミスにより「逆引きが壊れた」という事例が何度か過去に発生していますが,そのときにJANOGのメーリングリストで上がった悲鳴のひとつには,/etc/hosts.allowにドメイン名でアクセス制限を登録していたためにログインできなくなったというものがありました。
このように,逆引きはさまざまなところに影響を与える可能性がありますが,IPv6では全てのIPアドレスに対して逆引き設定を行うのが困難となる場合があり,結果として「逆引き設定を行えない」という状況が発生しています。
IPv6では,ユーザがどのようなIPv6アドレスを利用するのかが事前にわからない場合があります。
IPv6の標準仕様では,上位64ビットのネットワークアドレスと,EUI-64ベースのハードウェアアドレスから生成された下位64ビットを使って各ユーザの機器ごとにIPv6アドレスが設定されますし,クライアントPCではプライバシー保護のために定期的にIPv6アドレスを変更する場合があります(※)。
日本のISPでは,ユーザに割り当てているIPv4アドレスにはあらかじめユニークなホスト名を逆引き登録していることが多いですが,IPv6の場合,ユーザに/64のアドレスを出した場合に2の64乗個のアドレスを使われる可能性があり,すべてのアドレスの逆引きを前もって静的に登録しておくことは困難です。