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フリーWi-Fiのセキュリティは大丈夫? 事業者が知っておきたい対策4つ

フリーWi-Fiのセキュリティは大丈夫? 事業者が知っておきたい対策4つ

フリーWi-Fiのセキュリティに不安を感じる利用者は約7割

フリーWi-Fiとは無料で誰でもスマートフォンやPC・タブレット端末などにアクセスできる環境を指し、無線LAN、無料Wi-Fiとも呼ばれています。

カフェやファミリーレストラン、コワーキングスペースなどで導入されており、フリーWi-Fiを利用できることで集客できる、長く滞在することで客単価が上がるなどのメリットがあります。

賃貸住宅でもインターネット無料の物件は人気があり、全国賃貸住宅新聞 が公表した「人気設備ランキング2021」で1位、6年連続 で1位となっています。

インターネット無料(完備)物件にするためには、無料Wi-Fiの設置と同時にインターネット回線を引き月額利用料をオーナーが負担する事になります。

ただしフリーWi-Fiとインターネット回線の料金を家賃に上乗せする物件も多く、オーナーの負担をおさえながら入居率上昇、家賃アップが期待できます。

総務省が行った公衆Wi-Fiに関するアンケートでは、「公衆Wi-Fiで不安を感じるか」の質問にと「いつも不安になる」「時々不安になる」と答えた人の割合は合計69.6%に上ります。公衆Wi-Fiを利用しない理由では「セキュリティに不安がある」を挙げた人は56.1%で、セキュリティ面がネックとなっている事が分かります。

(対象地域:全国 期間:2020年2月13日~17日 調査数:31,112(公衆Wi-Fi利用者1,392をスクリーニング調査))

【画像出典】「総務省:Wi-Fi提供者向けセキュリティ対策の手引き」よりキャプチャにて作成https://www.soumu.go.jp/main_content/000690267.pdf

フリーWi-Fiを導入し、利用者がセキュリティに不安を感じることなく入居率・集客率を高めるためには一体どうすれば良いのでしょうか?

フリーWi-Fiにはセキュリティ方式がある

フリーWi-Fiはセキュリティ方式によってセキュリティ強度が異なり、WEPからWPA、WPA2、WPA3とIT技術の進化と共に強化されています。

【画像出典】「総務省:Wi-Fi提供者向けセキュリティ対策の手引き」よりキャプチャにて作成https://www.soumu.go.jp/main_content/000690267.pdf

提供者は利用者に「パスフレーズ(パスワード)」を伝える事で利用者がフリーWi-Fiを使えるようになります。

現在は多くの施設でWPA2が利用されていますが、最新の「WPA3個人用(WPA3- Personal)」は、弱いパスフレーズを使われた場合のセキュリティが強化されており、WPA2より改良されています。

事業者が知っておきたいフリーWi-Fiのセキュリティ対策4つ

WPA3 は2018年に最新のWi-Fiセキュリティのプロトコル(通信の規格)として発表されました。

フリーWi-Fiのセキュリティは大丈夫? 事業者が知っておきたい対策4つ

従来のセキュリティ方式よりもパスワード・暗号を解析されてもサイバー攻撃を防御する機能が強くなり、誤ったパスワードを一定回数入力するとブロックされる機能が追加された結果2022年1月現在最もセキュリティ強度が強い方式となっています。

WPA3には「個人用(WPA3-Personal)」と「企業用(WPA3-Enterprise)」の2種類があり、カフェやレンタルスペース、マンションなど小規模な施設は殆ど個人用(パーソナル)が利用されています。

WPA2を導入している施設ではコストが安い「WPA2パーソナル(WPA2-PSK)」方式が多く利用されています。

WPA2パーソナルはアクセスポイントに接続する人全員が同じパスフレーズを共有し、パスフレーズが第三者にわからない状態であれば、接続した人の通信内容が解読されることはなく安全に利用できます。

ただしパスフレーズが知られてしまっている場合、アクセスポイントの通信内容は比較的容易に解読できてしまいます。悪意のある第三者が偽のアクセスポイントを設置し、通信内容が盗まれてしまう危険性もあります。

WPA2パーソナル方式を利用する際には、パスフレーズを掲示せず個別に用紙で配る、定期的にパスフレーズを変更するなどの対策が必要となります。

ただしWPA3パーソナル(WPA3- Personal)では、セキュリティが強化されていますのでWPA2パーソナルより情報漏洩・盗難のリスクが低いです。

フリーWi-Fiの状況によっては、パスフレーズを利用者に伝えることが困難なケースがあり、利用によるメリットとリスクを総合的に判断する必要があります。

企業・組織で利用しているネットワークを利用してフリーWi-Fiを提供することは可能ですが、業務用のPCにWi-Fiから不正にアクセスされる被害を受ける可能性があります。

物理的にネットワークを分離、VLAN技術で別のネットワークを構築するなどの方法を用いて、業務用のネットワークとフリーWi-Fiのネットワークは分けておきましょう。

フリーWi-Fiを提供するためには、アクセスポイントやルーターなどの機器を施設に設置することが必要となります。

機器を管理するためには管理者IDとパスワードを設定しますが、パスワードが簡単(例:password、1234など)である場合、ハッキングされ情報が漏洩・盗難される危険性があります。

パスワードは数字・アルファベットの大文字・小文字・記号などを組み合わせた長いものを設定した場合、全てのパターンを試す総当たり攻撃などで解読されるリスクが低くなります。またパスワードが初期設定されている場合は変更しておきましょう。

アクセスポイントのパスフレーズを簡単にしている時にも、パスフレーズが推測されやすく危険性が高まるため複雑なものを設定しましょう。

同じネットワーク機器として、スマートスピーカーとも共通する部分がありますので、以下の記事もご参照ください。https://www.sumave.com/20180920_6291/

フリーWi-Fiで入居率・集客率を高めるためには

フリーWi-Fiで入居率・集客率を高めるために、ポスター・看板などでセキュリティ対策を行っていることを利用者や入居者に広く告知しておきましょう。

利用者・入居者が「安心してフリーWi-Fiが使える」と前向きに利用又は入居を判断する材料となります。

店舗・コワーキングスペース等、テレワークを行うサラリーマンで個人情報を扱う人にとってはセキュリティが重要となりますので、ポスター掲示などの告知は集客率を上げるチャンスです。

賃貸のインターネット無料物件は、インターネット回線とWi-Fiを導入する事例が多く導入時には費用と手間がかかりますが、入居者が回線を準備する手間が省ける事から需要が高く空室対策・家賃アップを見込む事が出来ます。

事業者として適切なセキュリティ対策を取り、集客率・入居率アップに繋げていきましょう。

執筆者/田中あさみFPライター。大学在学中に2級FP資格を取得、医療系の仕事に携わった後ライターに。金融・フィンテック・不動産・相続などの記事を多数執筆。ブログ:https://asa123001.hatenablog.com/Twitter:https://twitter.com/writertanaka19